Puma Blue「In Praise Of Shadows」
Black Country, New Road、Shame、Arlo Parksなど近年じわじわと盛り上がりを見せていた UK Indie 界隈のミュージシャンのアルバムのリリースが続き、嬉しい限りの今日このごろです。
その中でも最も楽しみにしていた Puma Blue の Full Albumがついにリリースされました。
これまでのシングル・EPと比較すると、さすがに作品として作り込まれていて、特にR&B的なビート感が前に出てきた印象です。
かといって、もともとの魅力に感じていた独特のコード感、アンビエンスもより洗練された形で織り込まれており、より整理された音像になっています。
タイトルの”In Praise Of Shadows”は谷崎潤一郎の名著「陰翳礼讃」の英名とのこと。腑に落ちる方が多いのではないでしょうか。
彼の作風については、本人も影響を公言している通り Jeff Backley, Frank Sinatraが引き合いに出される多く、これに異論を挟む余地はありません。
それに加えて、私の頭に思い浮かぶのは Chet Baker です。
特に彼の晩年の作品における音数を絞った演奏と掠れた歌声に近しいものを感じます。
また、本作をリリースするにあたってコメントにおいても以下のようなことを述べてます。
"the painful things you have to heal from or accept, that bring you through to a better place"
"It's about finding light in darkness and realizing that it's what got me here today."
("受け入れなければならない痛みこそが、より良い場所へと導いてくれる。"
"それは暗闇の中で光を見つけ出すようなこと、そしてそうすることが自分をここまで導いてくれたのだと悟ること。")
このコメントから分かるような本作のバックグラウンドには、晩年のChet Baker作品における寂寥感に通じるものがあるような気がします。